プロフィール

  あやこ3

Author: あやこ3
愛知県在住
1958年生まれ
夫、大学4年の次男と3人家族。
嫁に行った長女、独立した長男あり。


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必殺、鉛筆持ちだ。


去年の暮のことだった。
左奥下の歯茎がプクーッと膨れた。
直ぐに、かかりつけの歯医者へ向かう。
前に虫歯で被せた歯の根元が化膿しているとの事。
さっそく、治療が始まった。

 しかし、こちらの歯医者さん、評判がすこぶる良いので、いつも満員。
だいたい2週間に1回位しか順番が周ってこない。
盆、正月、GWなんて挟んでしまったら、1ヶ月に1回くらいになってしまう。
おまけにウッカリ行くのを忘れてしまい、再度予約をすると無常にも、また2週間先である。
そんなこんなで、たかが1ヶ所の治療で延々半年余りも通い続けている。

 それを聞く友人知人の中には、こう言う者も居る。
自分の行ってるところは、1週間で1回ないし2回くらいで順番が周ってくるから転院したら?と。
だが、そんな歯医者、怪しいではないか!
単純に考えて順番が早く来る、というのは患者の絶対数が少ないのだ。

 私は歯医者なら誰でも良い訳ではない!
確かな見立てと的確な治療技術のある歯科医でなければ嫌だ。
それもこれも、全て将来 「入れ歯」 という超ヒョウキンな事態を回避するためだ。
もちろん自分自身、並々ならぬ情熱を持って日夜手入れもしている。

 が、本日ひとまず、めでたく治療終了とあいなった。
お定まりの、歯科衛生士のお姉さんによる歯磨き指導と歯のクリーニングでフィニッシュだ。
まず、歯の汚れ度チェック。

 ・・・やはり前回、指摘された場所が、またもや綺麗に磨けていない。
お姉さん、あきらかに 「アンタやっぱり、いい加減な磨き方してるわね!」 と言わんばかりの気配だ。

 お姉さんに尋問される。
「どうして、磨き残しがで出来てしまうんでしょうねぇ?・・・」
そんなの判っていれば私だって知りたいわ!と思いながらも、ふと 「磨いている内に、無意識に昔やっていた磨き方になってしまうんです。」 と答える。

 ワーァ!そうだったんだ!自分で言葉に出しておきながら妙に納得する。
続けて 「昔やっていた磨き方とは?」 とお姉さん畳み掛ける。
「ブラシを縦に動かしながら、順番に左から右へスライドさせていくんです。」

  お姉さん 「ローリング法ですね。・・・今は、それでは汚れが取れない事が判って来たので、往復小刻み横運動を左右にスライドさせていくんです」
ヘーンダ!そんなの当の昔に知っている!
だ・か・ら・無意識に、すぐ昔のやり方になってしまっている、と言っているではないか!
と思いながらも、穏便に済ませようと 「そうですかぁ・・・」 と曖昧に答える。

 お姉さん、やっぱり 「どうやって普段磨いているのか、ちょっと、やって見せて下さい」 と、きた。
すぐさま手のひらを、上から被せるように歯ブラシを持つ。
ちょうど、太鼓を叩く時のバチを掴むような持ち方である。
 その時だ!お姉さん、自信たっぷりに言う。
「その持ち方を変えてみましょう・・・鉛筆を持つように持って下さい!」

 直ぐに素直にやってみる。
あれれー?!ちゃんと往復小刻み横運動が上手く出来る。
なおかつ、この小刻みの振幅が短いほど歯の表面の凹凸に対応出来るが、その点も上々だ。
以前の磨き方よりずっと歯への吸い付きが良い。
しかも、この持ち方では癖になっている縦磨きはやりにくい!
これなら知らないうちに縦磨きをする事は無いだろう。
 
 すぐに、お姉さんに 「この持ち方なら良いですねぇ!」 と伝える。
お姉さん、ニッコリうなずきながら 「ハイッ、頑張って下さいね」 と励まされる。
よーし!この鉛筆持ち歯ブラシで、また仕切りなおしだ。

 どうか半年先の検診まで、此処へ来る事がありませんように・・・。




それは、ないだろう?!


 以前から、ずっと気になっていた。
居間のメインの壁に架かっているタペストリーが、どうにも色あせて来た。
もう、思い出せない位、前に買ったものだ。

 花束の形にレイアウトされた押し花が和紙に漉き込んであり、当時としたは珍しいものであった。
衝動買いなど、まずしない自分が偶然入った店で、一目見て買ってしまったほどの惚れ込み様であった。
ウチに遊びに来た友人達が初めて見た時、必ずそれを感心して褒めた位の逸品だ。
それに代わるモノが欲しい!

 まず、こういう品物は、現物を見ないと失敗するので通販やネットはパス。
見当を付けた店、出かけた先など、めぼしい売り場を捜す。
が、どこにもない。
あっても趣味が合わない。

 タペストリーなんて、最もその部屋の雰囲気を表す。
気に入るのが見つかるまで、仕方ないが、このままで・・・。
と思っていたら、ふと紙の専門店なら、同じような和紙があるんでは?と気付く。
自分で気に入った和紙を、今あるモノの木枠だけ再利用し、自分で作ればいい!
それも面白そうだ。

 善は急げと雨の週末、名古屋市内の紙の専門店へ向かう。
国内外のあらゆる種類の紙が沢山揃っている。
和紙のコーナーで、一枚ずつ引き出しから丁寧に出しては眺める。
暫らく物色していたら、まぁまぁ気に入ったのが2枚あった。
桃色の花が漉きこんであるもの、とブナらしき葉っぱが漉きこんであるもの。
家へ帰って壁に当てて見て、似合う方にしよう!と2枚とも買い求める。

 ビックリしたのは、バイトらしいヤル気なさげなレジのお姉さん。
植物が漉き込んであるのに、まるで小学生が図画に使う画用紙を扱うようにクルクルと丸めようとする。
思わず声を上げた「エーッ!ちょっと、それ丸めるなんて・・・。」
お姉さんハッとして「このまま、伸ばしたままがいいですか?」
当たり前だぁー!丸めたら漉き込んである植物が折れるだろう!との思いを込め、怒った顔をする。
お姉さん慌てて、すぐに紙と同じ大きさの持ち手が付いたポリ袋に入れる。

 ったく!包装する紙の種類をひとつ、ひとつ、しっかり見なくちゃ駄目じゃないか!
お客に販売する品物を大切に扱うなんて事は、店員としては初歩だ。
こんなバイト置いておくなんて店も店だ!と不愉快な思いで店を後にする。

 都心に出たついでに寄った、お菓子パン作り用品専門店でもさらに、びっくりする。
フランスパンを焼く前に、生地に切れ目を入れるクープナイフを捜しに行った。
店内、ざっと見ても見当たらない。
パーキングメーターの時間も気になるので、店員さんに聞いた方が早いとレジで訊ねる。
暇そうにボーッと突っ立っていた、お姉さん「クープナイフ・・・ヘッ?何それ?」である。

 こんな役立たずをレジに置くなっ!と、またもやムッとしながら、説明する。
どこも安い労働力でコスト削減を計ってるだろうが、私はその辺のホームセンターに来てるんじゃない。
いみじくも専門店だろう!
せめてバイトでも、何をおいてもお菓子、パン作りが大好きな子を雇え!
そしたら、クープナイフぐらい知っている!

 バイトだろうがパートだろうが、お金を頂く以上は素人同然では情けないではないか!
「心を込めて、勉強を怠らず、誠実に仕事しろー!」
「店主もコスト削減より、バイト教育をしっかりしろー!」っと、オバサンは説教したかった。


・・・結局タペストリー、2種類の木の葉が和紙に漉きこまれているシンプルな方で作った。
以前のには、とうてい及ばないが、自然な雰囲気が、まぁ気に入っている。
秋口になったら、紅葉が漉き込んであった和紙で、また作ろう!
森茉莉の「贅沢貧乏」に出てくる主人公のように、自分の棲家は気に入ったモノだけで固めたいのだ。


                     08-06-23_18-27.jpg


                      (壁上部の2つの白い部分はスポットの光の反射。・・・霊ではない)

やっと走れます、白山スーパー林道!

三方岩岳  1736m   岐阜県

 ずっと、昔から乗鞍スカイラインと並び、一度走ってみたかった白山スーパー林道。
場所的に漠然と遠いと思っていた。
ところが、昨年長男の金沢への引越しの際、R156を北上するうちに、途中で林道への入り口を見つけた。
思っていたより近い!

 いつか、走りたいと思っていた乗鞍スカイライン。
が、何年か前に環境保全の為、一般車両通行禁止になってしまった。
結局マイカ−でのドライブは夢になった。
白山スーパー林道だけは、出遅れた思いを再び持つ事のないようにと、たまに話題に上っていた。
ここへ来てチャンス到来。
今回また長男の住む金沢を訪ねる事になり、その道中に走ろうと思いつく。

 白山スーパ林道、東は岐阜県の世界遺産にもなった合掌村がある白川村。
西は石川県白山市までを結ぶ、33キロほどの山岳道路だ。
時間にして1時間くらい山間を縫うように走る道である。
さぞ、道中の景色が、みごとであろうと長い間、憧れであった。

 ネットにて「白山スーパー林道」についての情報を集める。
その中で思わず喜んだのが、林道途中にある三方岩岳。
林道の休憩場所の駐車場から、1時間強もあれば往復出来る手軽さ。
おまけに頂上は360度の大展望!

 白山は当然ながら、立山、穂高連峰が見通せるとのこと。
ここまで知れば、絶対登るしかないではないか!
これで当日のランチの場所は決定だ!

 週末お天気が良いことを願う。
果たして週末、梅雨真っ最中なのに奇跡のように晴れ!晴れ!晴れ!
早朝から、上機嫌の滑り出しである。

 自宅から約3時間半走ったところで、岐阜白川村白山スーパー林道突入!
すでに標高1200mはある。
下界の景色が小さく見える。
遠くの山並みも天気の良さではっきり見える。

 幾つかある展望の良い休憩所で、停車しながら、一回一回その景色を楽しむ。
およそ45分ほどで、登山口のある駐車場に到着。
涼やかな空気の中、わくわくしながら登山靴に履きかえる。
こんなに晴れた中の登山、ホントに今日はラッキー。

 いよいよ頂上の眺望に、大きな期待を持ちながらスタートだ。
標高差400m弱を標準40分という、結構、急な登りである。
おまけに高い木が無い為、日差しをまともに受ける。
すぐさま汗が噴き出す。
たぶん季節柄、これ以上夏が深まったら、登るには暑すぎて不向きだ。
先週ようやく林道上の雪が溶けて開通になった。
まさにベストタイミングである。

 途中、タムシバの真っ白な花が山肌を飾るように、あちこちに咲いている。
山アジサイの白も可憐だ。
足元にはイワカガミも点在しているし、初めてみる花もいくつかある。
登山道は、やっと春の様子だ。
こんなに美しく気持ちの良いコースなのに、思ったほど登山客は少ない。

 11時15分、登山口から45分、登頂。
目の前に裾野が広く、悠然と構える白山が見えた。
どっしりと大きく美しい。
その迫力に言葉も出ない。
まだ、雪を冠っている。
・・・結局、心の底に響くような感動が、いつも次への山行きに思いが繋がってしまう。

 カッコウ、うぐいすなど小鳥のさえずりだけが響いている中で、お弁当を広げる。
他には入れ替わりで2,3のグループだけだ。
穏やかで優しく、ゆったりとした、それでいて晴れ晴れとした気分だ。
お弁当を、ほお張りながら、いつか必ず、あの白山のてっぺんにも立ちたいと強く思った。


                     08-06-14_11-25.jpg


                 お弁当を食べた三方岩岳から白山を望む    2008.6.14

いつも感謝です!


 友達からの手紙が、久しぶりに届いた。
ワッ、嬉しい!とばかりに急いで封を開ける。
なんと、7月にJR名駅高島屋で行われる赤毛のアン展の入場券が入っていた。
この展覧会の企画を観た時、直ぐに私の顔が浮かんだと言う。

 偶然にも、30年ほど前に読んだ「赤毛のアン」を最近、また読んだところだった。
事のついでに映画「赤毛のアン」も、ぜひもう一度観たいと思っている。
映画の中の舞台カナダ、プリンスエドワード島の溢れんばかりの美しい自然を、ぜひもう一度観たいのだ。
そんな想いを持っていたので、まさに渡りに船!である。

 でもチケットも嬉しいが何より、その友達の心遣いが嬉しい。
ありがとう・・・。
絶対、都合付けて行くよ!

 他にも 「読んだ雑誌にターシャ・テューダー(米の絵本作家)が載っていたから」 と、その雑誌を持って来てくれる友達。
「新聞に曽野綾子さんのコメントが載っていたよ!」と、わざわざ切り取って手渡してくれる友達。

 自分が何かの折に話した好きな人物や、好きな事についての情報を、気に留めていて差し出してくれるその親切。
その一人、一人の温かな優しい心遣いが心底嬉しい。

 もともと、非社交的な自分である。
友達も大勢はメンドクサイから、いらない(←いや、出来ない?!)

 おまけに、よくある何かの役員や、単に同じ組織と言うだけの団体での忘年会だの飲み会などの類は、まず勝手ながら欠席。
自分でなければ、という必然性が感じられない社交の場は魅力がない。

 そもそも体裁を整えた万人向けの、お茶を濁したような会話は退屈。
また、酒の肴類の濃い味付けのオンパレードにも辟易してしまう味覚。
ましてや、人脈作りなんてアホくさい!としか思っていない。

 その性分が年と共に顕著に行動に現れて来た。
なにしろ、やりたい事、やらねばいけない事が山のようにある。
何かを掴んだら何かを手放さなければいけない。
手持ちの時間は有限だ。
どうしても常に優先順位を自分の中で確認することになる。

 かなりな偏屈者である。
それでも、何人かの奇特な友達が、ずっと昔から係わっていてくれている。
また、新しい事を始める度に、その場がきっかけで友達になろうとしてくれるモノズキ者にも遭遇する。
ありがたいことである。

 その彼女たちの存在自体が、時々フワッと温かな想いを運んでくれる。
しみじみとした幸福感だ。
一生で、どれだけ沢山の人達と行き交うのか分からないが、友達になれた事、感謝いっぱいである。

こんなんまで、入ってます。


 最近読んだ、群ようこ氏のエッセーで、こんなようなことが書かれてあった。

 ・・・このごろオバサンも結構、若作りするので服装だけでは、オネエサンと大差ない。
けれどバックを見れば一目瞭然。
オバサンのバックはパンパンだ・・・。

 思わず噴き出してしまった。
間違いなく自分も、パンパンだからだ。

 先日、友達数人とランチに出かけた。
全員、自分と同世代である。
さりげに、みんなのバックを見る。
なるほど確かに、そこそこ膨らんだバックを持っている。

 ・・・でも、あきらかに、自分が一番パンパンだった。
異様に膨らんでいる。
帰り際、道端で立ち話しをする。
なにげにバックから、水筒を取り出したら、みんなにギョッとされた。
 

アジサイライン

三ヶ根山  350m  愛知県蒲郡市

 昨夜の天気予報では、今日休日は曇りのち雨。
案の定、朝から今にも泣き出しそうな空だ。
こんな日でも似合うのが、やっぱりアジサイ。

 ドライブがてら、三ヶ根山に向かう。
この山は有料道路が走っていて、その沿道にはアジサイが沢山植えられている。
果たして、ちょうど見頃であった。
淡い青、薄い紫、柔らかい桃色など、優しげで小ぶりなアジサイがズラーッと沿道添いに咲いている。
ゆっくりとしたスピードで上って行く。

 頂上付近の駐車場に車を置き、見晴台まで登った。
三河湾がスッポリ見える。
天候のせいか、ガスではっきり眺望は捉えられない。
それでも、おぼろげに小さく見える街や、遠くの海を俯瞰するのはいい気分だ。
 
 ふと、まだ結婚前の頃、この山の頂上に、会社の同僚達と集合した事を思い出した。
夏真っ盛りの頃だった。
会社の昼休みに、誰かが岡崎の花火大会を、三ヶ根山から皆で眺めよう!と言い出した。
なんとなく、みんな山のてっぺんから眺めたら、さぞよく見えるんではと思い、口々に賛成した。

 夜間なので女の子だけではと、それぞれ彼氏同伴で集合となった。
もっとほかに居たと思うけど、今、思い出すのは奈保子さんと純子さん。
もちろん、それぞれの彼氏も一緒だ。
何組かのカップルでワイワイと、花火が始まるのを期待いっぱいで待った。
私達のグループ以外は誰も居なかった。

 ほどなく始まった。
・・・・・・でも、あんまりよく見えなかった。
情けないくらいの小さな光の輪が、見えただけだった。
みんなが気落ちするのが分かった。
誰かが笑った。
続けて他のみんなも笑った。
だんだん大きな笑い声になって、闇夜に、こだました。

 みんな若かった。
あの頃は同じようなメンバーでよく遊んだ。
たしか「ホタルを捜しに行こうツアー」にも出かけた。
それから、しばらくして奈保子さんは三ヶ根山へ一緒に来ていた彼と別れた。
純子さんは、一緒に居た彼と結婚した。

 年月が経つうちに、あの頃の仲間とは、お互い消息も分からなくなっていった。
今は何処で、どうしているのか・・・。

 「みんな、元気で暮らしているかーッ?」
「私はあの頃と、ほとんど変わってないよーッ!」

 奈保子さん、純子さん、今でも私は面白い事が大好きで、キョロキョロしています。
あの時一緒に居た彼も、オジサンになって、そのままチャッカリ隣に居ます。
出来たら、もう一度、三ヶ根山に集合しませんか?

 梅雨のアジサイは絶対、当たり!ですから・・・。


良い物を長く使いたい!


 3日前のことだった。
掃除をしていたら、いきなり掃除機が止まった。
「あららーん???」と、スイッチのOFFとONを何度も繰り返す。
でも、ウンともスンとも言わない。

 製造年を確認すると92年製・・・。
もう16年使っている!
寿命かなぁーと思いつつ、往生際が悪いが、なじみの電気屋さんに一度診て貰うように、夫に頼む。

 我が家の電化製品は、基本的に同一メーカーのモノだ。
実家が、このメーカーの品質の熱烈なファンで、当然わたしの嫁入り道具も、全てこのメーカーで揃えた。
期待に答え、信じられない位、長持ちしたのを目の当たりにした。

 常時稼動の冷蔵庫はもとより、全てが10年は楽勝の製品ばかりだった。
最長は衣類乾燥機の23年。
次点に電子オーブンレンジの21年が続く。
それに今回の掃除機の16年も、よく健闘したではないか!

 と思っていたら、なんと・・・直った!!!
夫の報告では、電気屋さんに見せたら、切れた時の状況を聞き、あっさり言われた。
「コンセントの中の配線が切れたと思う」
それなら夫は自分でも直せると思い、部品だけ買って持ち帰った。
帰宅後、早速取り替えたら、やっぱりブォーンと動いたと言う。

 おまけに電気屋さん、帰ろうとした夫に「まだまだ、この掃除機は使えるよぉー」だって!
感動である。
こんな良質な電化製品を造れるメーカーと、自店の利益よりお客さんの利益を優先する電気屋のオジサンにである。

 夕飯時、夫と、しみじみ話す。
「良く考えたら、自分が嫁入り道具として持って来た電化製品は、全て入れ替わっているんだねぇ」と私。
「だって、27年も、たってるんだから・・・」と夫。
確かにそうである。
最初に両親が買い揃えてくれた電化製品は、もう全てないんだ、と今更のように感慨深い思いが湧き出る。

 ふと、夫が「コレは、まだまだ大丈夫だから入れ替わらなくてもいいよね!」と言う。
ハテなんだろう?と顔を上げた。
・・・なんと、自分を指差していた。
何だか笑えた。
夫も笑う。
二人で、しばらく意味不明に笑い続けた。

石窯パン物語 2 (酵母成功)


 昨年の事だった。
通っているパン教室で先生から天然酵母をいただいた。
店で使用しているものだ。
自宅に持ち帰り、早速パンを仕込んだ。

 何より驚いたのは、その酵母の力強さ。
酵母が詰まった空き瓶を、開けた途端「プシュッ!」と、ビックリするほど大きな音で炭酸音がした。
あまりの勢いのよさに、プロの技術を垣間見た思いであった。
店では1日2000個も焼く。
それらが間違いなく時間通りに発酵しなければいけないのだ。
100発100中の酵母でなくてはいけない。

 何とか、同じモノが出来ないかと試行錯誤の日々。
ネットで調べ、図書館で調べ、本屋で立ち読み比較検討。
しかし、どれも大雑把で明確な基準がなくアイマイな作り方。
おまけに、ふと気が付いたのは、先生のように旬の作物で作っている天然酵母のパン屋はほとんどいないこと。

大方、レーズンなど作りやすい素材で、しかも年中同じだ。
もっと簡単な店は、市販の天然酵母を使っている。
確かにそれでも良いが、身土不二の考え方からいくと、やはりその時期に地元で取れた作物を身体に入れるのが一番ベストだ。

 でもそれを追求するのは、とんでもなく難しい事なのか、手間暇かかる事なのかと考え込む。
一応、先生が授業の中でサラリと触れた天然酵母の作り方。
疑問点は幾つかあったが、何しろ忙しそうな先生、実習中もやってるパン以外の話は出来ない雰囲気。
仕方なく、判らない所は自分で見当を付け工夫する。
そして実験。

 あーでもない、こーでもないと落胆したり、度重なる失敗ぶりに暫らく手を付けなかったこともある。
しかし、しかしである!
今回やっと先生と同じ具合に作用する、安定した酵母が完成した。
しっかり25度で一次発酵12時間、30度でベンチタイム40分、35度で成型発酵2時間。
温度さえ、ピッタリ合っていれば確実に時間通りで目的の作用をする。
酵母の作物は、取れたての「さくらんぼ!」である。

 初めて自信の自作酵母で焼いたパン。
こねる材料は粉と最低限の砂糖と塩のみでOK.
たった、それだけで味わい深く、それでいて飽きないシンプルさがある。
まさに毎日食べられる食パンである。

 ここまでたどり着くのに、一山越えた思いだ。
目的の山は遥か彼方に見える。
それでも、歩かなければゼロ。
一歩でも歩けば、間違いなく近づく。

 どんな大きな数も「1」が集まって出来ている!
・・・昔、自分で自分を叱咤激励するときに頭をよぎったセリフだ。
まさか、この年になっても、こう思う場面があるとは思わなかった。
一方、大っきな道楽をしているような気もする。


「焼きそば」は任せた!っと


 休日の日暮れ間近、スーパーで夕飯の献立を夫に相談する。
すると夫は思いついたように、いきなり実験がしたいと言う。
なんでも昨夜のTV番組で、目から鱗が落ちたとのこと。

 今までの常識を覆す方法で、パリッパリッに焼ける焼きそばの作り方を実演していたという。
そこで、ぜひ今夜やって見たいとの希望である。
そりゃー結構じゃないか、ぜひ任せよう!
鱗でも何でも落としてくれーぇ!と、ばかりに材料を調達。

  今宵の夕飯メニュー  (担当 夫)
1、パリパリソース焼きそば
2、ポテトサラダ
  (日中、石窯パンを焼くついでに、横にジャガイモを転がしておいた。
   結局、そのまま石窯内に忘れて食べ損ねたので、それを利用したい)
3、アサリのお味噌汁
4、黄瓜のサラダ(切って並べるだけ)
5、朝の残りご飯

  ちなみに夫の料理の腕前。
朝ごはん定食セットの類(お味噌汁、青菜のお浸し、目玉焼きなど)とラーメン、うどんなど能書きを読めば誰でもOKの即席もの、が出来る程度。
特に料理好きとはいえない。
が将来、私が先に天国行きになった場合を想定し、危機管理の一環として、休日の朝ごはんを、たまに担当。
 
 両手にフライ返しを持ちフライパンのなべ底をジッと見る夫。
オッ、気合が入っているゾ!
私はといえば、妙な味付けのものは食べたくないので、さりげにチェックの体勢である。
・・・さぁ、始まった。
油を引き煙が出たら、なんと麺をほぐさず、そのままフライパンに入れる。
ガビーン!と思ったが、ここはジッと任せる。
・・・コレッかぁ?コレなんだ!常識を覆す方法とは!

 両面、玉のまま焦げ目を付けるように焼く。
「それから肉とキャベツを麺の横に置くんだ!」と得意そうに説明する夫。
そのまま、おもむろに麺、肉、キャベツを混ぜだす。
オッと、肉の臭み消しに塩コショウも忘れずに。
暫らく炒めたらソースの登場だ!

 「ねェ・・・。どれ位入れたら、いいかなぁ?」
ソースの分量を尋ねられる。
「普段、食べる料理にかける量を想像して加減すれば?!」と答える。
ついでにふと今、思いついた提案をする。
「和風ダシの素を少し振りかけよう!」と勝手に振りかける私。
定番の水は絶対入れてはいけないそうだ。
麺の表面が水分を含み、ダラダラ焼きそばになる大きな原因とか・・・。

・・・・・・・ およそ10分後。
出来ました!
どれ、お味のほどは・・・一口食べてみる。
「ホントだ!パリパリしていて、美味しい!」感激である。
味付けも辛すぎず、薄すぎず丁度良い!
「すごい!すごい!今日から焼きそばの達人と呼ぼう!」
単なるマグレかもしれないのに大げさである。

 こりゃー、いいや!パクパク食べながら「これからも焼きそばは、よろしく!」と夫に伝える。
すぐさま夫の口から食べかけの麺が咳と一緒に飛び出した。


石楠花(シャクナゲ)滑り込みセーフ

烏帽子岳 (えぼしだけ)   872m   岐阜県

 「うー・・・痛い!」 腿の内側辺りが痛い。
夜になっても、痛みは引かない。
ガイドでは体力度Bランク。
しかし、思いのほか急登が延々続いた。

 石楠花の群生があるとの記事に、ウもスもなくこの山に決定する。
しかし登りが苦しく、すっかり石楠花など頭から吹っ飛ぶ。
息を弾ませ、小休止を何度も取りながら登る。
延々と続く階段を、ふと見上げると視界の上まで続いている。

 これ以上見上げると、ゲンナリするので1mほど前方を見ながら、ひたすらゆっくり上る。
後ろから夫がノーテンキな声で、やれ昨日こうだった、だの、この前のTVがあーだったねぇ、だの話かけてくる。
わたしゃ、それどころではない!
返事をするのさえ、億劫だ。

 暫らくして、わずかな上り傾斜が付いた尾根歩きになる。
それすら、少し辛く感じる。
だが相変わらず 「ホントに気持ちの良い道だねぇ!」 と全く、意に介さない夫である。

 およそ、1時間半を過ぎた頃。
レンゲツツジのオレンジ色の花が目立ってきた。
丁度、みごろで新緑に映えて美しい。
苦しい身が報われるような思いだ。

 シロヤシオやサラサドウダンツツジも見つけた。
沢山はないが、ポツリポツリと登場する。
その度に休憩して、写真を撮ったり眺めたりと楽しむ。
やはり、その季節にしか咲かない花との遭遇は、山登りの大きな醍醐味である。

 時間的にも、もうすぐ頂上だと見当を付けたときだった。
足元に白から薄桃色に変わっていく、漏斗状の花びらが幾つか落ちている。
ハッとして見上げたら石楠花だった。
残念ながら一足遅かったらしく、一塊になった花々は2,3あるだけだ。
だが、遅咲きのそれも、優しく上品で可憐である。

 それまでの疲れが吹っ飛んでしまう瞬間である。
もう、1、2日遅かったら会えなかった。
山で見る石楠花は、なぜこんなに美しいのかと思う。
人間に庇護されることなく、自らのみの力で花開く強さが美しいのか・・・。

 ・・・しかし、足が痛い。
帰路も同じ道を使った。
下りは下りで、重力に乗って落ちようとする身体を止めなくてはいけない。
またもや、苦しい。
やっとの事で車にたどり着いた。

 「ねぇー、今日のコースけっこうキツかったよねぇ」 と夫に同意を求める。
が、涼しい顔して「そうかなぁー?」
・・・・どこまでもタフなオジサンであった。

お初です!群馬県


 GWに百名山のひとつ、赤城山に登った。
予定していた連休の3日間、2日目のみ曇りで、あとは雨に降られる。
それでも自宅を出て暫らく天気は持ち応え、ときどき陽も射していた。
お陰で、いつも楽しみにしている中央道からの眺めは充分堪能出来た。

 高速で恵那山トンネルをくぐり、北に向かうと飯田辺りから、左に中央アルプス、右に南アルプスが見える。
昔から大のお気に入りの景色だ。
遠くを悠然たる3000m級の山々が、車窓越しに流れていくのだ。
圧倒的な迫力である。
木曽駒ヶ岳など白く雪化粧した頭が青い空に映えて、惚れ惚れしてしまう位美しい。
手前に並ぶ、縁取りのような低山は新緑が眩しいほどキラめいている。

 長野道に入る頃には視界に入る山も低くなり青空が大きくなる。
里はヤマブキの黄色や、りんごの木の白い花、山桜の桃色など春らしい彩りで華やかである。
暫らく田園が続く牧歌的な風景を楽しんだ後には、今度は北アルプス雄姿の面々が見える。

 街や住んでいる人間は、時代とともに入れ替わる。
だが、山は悠久なる時を、ずっとあるがままで、そこに在る。
ほんのひと時代だけ係わっている自分。
人の世の儚さに厳粛になる。

 およそ5時間ほど高速を走り続ける。
上信越自動車道の県境を伸びているトンネルの途中に、長野と群馬の境の表示が見えた。
群馬県を訪ねるのは夫婦ともに初めてである。
「群馬、群馬、群馬だよ!」と二人で歓声を上げる。
初めまして、の気分全開だ。

 子供達が小学生になった頃だった。
世界は沢山の国、日本もいくつかの都道府県から成り立っていることを知らせたかった。
地球儀を手に入れた。
トイレに世界地図を張った。
たまに日本地図も登場した。

 当時、家族間で、かなり盛り上がったゲームが世界国名当てゲーム。
その名の通り、白地図で示された国名を当てるという単純なゲーム。
やる気を引き出す為に親である私達が500円ずつ、子供達が10円ずつお小遣いを出し合い、合計1030円を優勝賞金にした。

 ビックリ驚いたのは、出した問題50カ国、すべて正解はパパと、なんと当時小学2年だった次男である。
パパはさすが!と感心したのも束の間で、解答用紙をしっかり見たら慌てて書いたらしく、ガーナをガナと書いてあった。
文句なく次男の優勝に決定!
1030円の賞金をゲットして得意満面な次男であった。
始まりは、いきなり「10日後にやるよー!」なんて予告してから、さぁー大変!
親も面子があるので必死で憶えた。

 ・・・そんなゲームで都道府県もしっかり憶えたつもりだったが、やはり丸暗記だけでは自分のものにはならない。私自身、未だに関東東北や九州は位置がイマイチ怪しい県がある。

 強いのは、やはり旅行で訪れた場所である。
しっかり、その場でのシチュエーションとともに記憶に刻まれる。
お正月に訪ねた四国だって、もうしっかり4つ正確に当てはめられる。

 今回、群馬も必ず記憶に残るだろう。
群馬の東は漢字で書けるか?栃木!
西は長野、北は新潟、南は埼玉である。

 そんなワケで、お初です群馬県!

「うなぎあたま」ってなんだ?


 今日、嫁に行った娘がウチに来た。
私達夫婦がGWで登ってきた赤城山の、お土産を取りに来たのだ。
予め2種類の品物名を提示してあり、どちらがいいかリクエストを聞いておいた。
夫婦で相談した結果、どちらも捨てがたいので半分ずつ欲しいとの事。

 一つ目の箱はワカサギの甘露煮。
続けて、もうひとつの箱を差し出す。
娘は言った「あれー・・・ウナギアタマは?」

 「ウナギアタマ?・・・何、ソレ?」と私。
「だって、メールでワカサギとウナギアタマってあったから、どんな食べ物なんだろうねぇー、と二人で考えてぜひ、食べてみたいと思って・・・。」
・・・・・・・・・事情が飲み込めた。

 饅頭をウナギアタマと読んでいた娘であった。
確かに似ている。
だが、違う!

 そう言えば、長男が大学1年の時、夕飯時にしきりと会話の中で「ハッキ、ハッキ、ハッキが判るといいよねぇー」なんて言っていた。
しばらく???
そのうち文脈から合点がいった。
簿記の事であった。

 またまた、そう言えば、友達が普通の顔して郵便局で「タメカエ下さい」と言い、さりげに局員に「カワセ(為替)ですね」と訂正された話を思い出した。

 またまたまた、そう言えば介護の仕事を始めた頃の私が、月例会議で熱意あふれる発言をした。
その後リーダーから、なにげに「セイネンゴケンニンとはセイネンコウケンニン(成年後見人)の事ですね」と念押しされた。

東村に思いを寄せて


 桜便りが、あちこちで聞かれる頃だった。
そろそろGWに登る山を決めないと、宿の手配が間に合わない。

 去年、思いつきのように決行した大山(鳥取県)。
寸前に予約の手配になった。
空いている宿が1件しかなく、仕方なくそこにした。
犬も一緒にOK、という触れ込みの宿だった。
犬は好きだ。
だが見も知らない犬とのペンションライフは、イマイチ乗り気がしなかった。

 案の定、キャンキャン吠える小型犬を連れた家族の横での晩ご飯と相成った。
それだけならまだしも、夕食のメニューが、なんと「ナベ!」
そう、あの寒い季節定番のナベ!
なんで、初夏ともいえるGWでナベなんだ!
小型犬が走り回る座敷(ペンションに座敷、というのもヘンだ!)で季節外れのナベを囲んだ時、しみじみ思った。
やっぱり、予約は早めに取ろうと・・・。

 今回はその教訓を活かし、早めに計画を立てる。
常日頃、夫と少しずつ百名山を制覇しようと決めているので、リストを前に相談。
休みの都合で、往復も含めて3日以内で行ける距離の山。
お正月に西へ出かけたので、今度は東が良い。
結果、赤城山(群馬県)に決定。

 あの「赤城の山も今宵限りだ・・・」の赤城山である。
念のため、天候悪化や時間の空きに周れるかもしれない観光スポットも調べる。
ふと、気が付く。
富弘美術館がある東村が群馬県だ!
地図で確認する。
赤城山から20、30キロの距離である。

 星野富弘 S21年生まれ、群馬大学を卒業後、体育教師として中学校に赴任。
わずか2ヵ月後、クラブ活動の指導中、誤って鉄棒から転落。
以後、四肢マヒにより手足の自由を失う。
その後、口に筆をくわえて詩画を描き始め、その作品が全国で感動を呼ぶ。
故郷に自身の詩画が常設されている美術館(富弘美術館)あり。

 約、20年ほど前に手にした星野さんの著書「風の旅」「愛、深き淵より」の深い感動を思い出す。
ページを開くと、心に刻み付けるように自分で引いた線が何本もついている。
その箇所は今でも胸を打つ。

 仲良しだった入院仲間がだんだん状態が良くなり、ずっとその仲間の回復を願っていた筈の彼だったが、自分の心に湧き出た嫉妬心に、苦しんだ時の手記。
・・・周囲のひとが不幸になったとき自分が幸福だと思い、他人が幸福になれば自分が不幸になってしまう。
自分は少しも変わらないのに、幸福になったり不幸になったりしてしまう。
周囲に左右されない本当の幸福はないのだろうか・・・

 また、自分の身体は、もう一生元に戻らないという事実に打ちのめされ、自殺を考えてしまう。
だが、様々な出来事を通して彼は蘇る。
その場面にも線が引いてある。

・・・いつかはわからないが、神様が用意していてくれる、ほんとうの私の死の時まで胸をはって一生懸命生きようと思った。
井上陽水の「人生が二度あれば」という曲が、ときたまラジオから流れてきた。
でも私は人生が二度あればなどと考えるのはよそう。
今の人生を精一杯生きられない者が、二度目の人生など生きられるはずがあるだろうか。・・・
                                        星野富弘著「愛、深き淵」より

 
 何だか赤城山より、星野さんの故郷に行ける!という事が大きな楽しみになってしまった。
訪ねた時に、じっくり感動したいので、もう一度著作を読み直そう!
赤城山、桐生、渡良瀬川そして東村!地図の中の地名が鮮やかに生きてくる。
読みながら、こんなに良い本と巡り会っていたんだ、と改めて感激する。

 

ミツバツツジのアーチをくぐって

鶏冠山(とさかやま)  490.9m  滋賀県大津市

 山あり谷ありの変化あるコース、随所に迫力のビューポイント、ぐるりと周遊可能!
おまけに2ヶ月前に開通した新名神、記念で6月30日まで割引有り。
そこまで聞いたら、絶対行くしかないではないか!
ぜひ、滋賀県まで遠征だ。

 新しい高速道路、当たり前だが山の中を縫うように伸びている。
車窓からの山々の景色が、これまた大きな楽しみである。
所々に目に付くのはミツバツツジのピンクである。
桜のような華やかさはないが、健気に自己主張している。
若葉に混じっても、充分目を引いて綺麗だ。

 たどり着いてみると、なんとこちらの山もミツバツツジのオンパレードである。
意図していなかった事もあり、感激度が大きい。
丁度、満開で登山道脇に、あっちにもこっちにもと登場。
思いがけず、ミツバツツジを見上げて歩く事になる。
偶然、こんなに良い時に来られて、嬉しい気持ちで一杯である。

 新緑も鮮やかな萌黄色でほんとに美しい。
渓流の音に交じって、小鳥のさえずりが聴こえる。
稜線上にある、風化した花崗岩の景観も珍しく、見ごたえがある。

 大きな岩石をロープで登ったり、ウッカリ下を見れば卒倒しそうな箇所を、鉄梯子で渡ったりと確かに変化に富んでいる。
樹林帯も少ないので、登山道での眺望も抜群である。
開放感あふれ、登っていても気持ちが良い。
そのうち頂上付近になり、アッとびっくり!

 なんと、イワカガミの群落ではないか!
・・・イワカガミ、アールヌーボーのテーブルランプのような形をしている。
小さくて可憐なピンクの花である。
それら沢山の株が、あっちにもこっちにも木々の根元で咲いている。
こんなに沢山のイワカガミを一度に見たのは初めてである。
またもや、大感激である。

 頂上に着く。
木々に遮られ眺望は、ほとんど無い。
記念撮影のみして、先を急ぐ。

 暫らく行くと天狗岩という、巨大な岩が出現。
人が数人上がっているのが見える。
自分もよじ登り、おっかなびっくりで上に立つ。
恐ろしい思いをしただけの事はあり、琵琶湖や南、東方面の山々など大迫力の展望である。

 人ごみは苦手なので、もう少し進んだ眺望の良いところでお弁当にする。
時計は12時半を示していた。
登山口スタートから、すでに3時間経過している。
朝4時半に起き、張り切って作ったお弁当。
お腹がペコペコで胸の透く景色を前に、食べるのは本当に贅沢。
贅沢っていう言葉、あんまり今まで使う事なかったが、こういう時に使うんだな、と最近実感。
 
 それにしても、今回のミツバツツジとイワカガミは望外の嬉しさである。
まだまだ、行ってないところ、見たことない景色がいっぱいある。
知らないところ、知らないですごしていた所への憧れで心は次の山へ向かう。

 

※ そうそう今まで沢山、色んな山に行ってるけれど、知っている人には一度も会った事がなかった。
  しかし今回、登山口で隣町に住んでいるイトコに、偶然バッタリ会った。
  お互い、腰を抜かさんばかりに驚いた。


ずっと変わらないよ!


 ないものに気持ちを向けて、ひがんだり愚痴ったりするのは好きじゃない。
持っているものや置かれた環境、状況を感謝し喜びたい。
それを最大限に活かし、味わう事を心がける事。
ずっと前から変わらない自分のポリシー。

 22歳で、お嫁に来た。
それまでも、けっこう楽しく過ごして来た。
だが二人だと、毎日をもっと楽しく過ごせる気がした。
せっかく一緒に暮らすんだから楽しまなければ!と意気込んだ。

 今、その未来に立っている。
やっぱりあの頃の自分の思いは、間違ってなかったと思う。
 
 何かやろうと思っても、一人より二人で計画した方が、確実に実現率が高い。
一人で仕事や作業した場合の成果は、当たり前だが1人分。
だが、二人で協力し、手分けしてやってみる。
二人分の成果が出るかと思いきや、それ以上の成果になる事が多い。

 日常の様々な楽しみも、一人で浸るより二人で浸った方が倍以上の楽しみを感じる。
嬉しい気持ちが確実に増幅する。
沈んだ気持ちも一人だと深刻、二人なら何となく誤魔化されてしまう。

 ずっと一緒に同じ景色を見て来た気がする。
これからも、同じ景色に心動かし、過ごしていくだろう。

 今日、4月25日は27回目の結婚記念日である。
あの日の22歳と25歳の新米夫婦は、今でもノーテンキに楽しくやっている。
ジイサンバーサンになっても、やっぱりノーテンキに楽しくやっていたいと思う。


ブナが待っているよ!

東山動植物園   愛知県名古屋市

 山に行きたいのは山々なんだが・・・なぁんちゃって!
先週の事である。
職場の玄関横の花壇に水をやっていたら、スロープに足を取られバタッと派手に転んだ。

 右斜めに倒れたので右手薬指、右足脛打撲。 右手甲、右足膝小僧擦り傷。
という訳で患部、紫色であきらかに張れていたり、かさぶた状態。

 右手の薬指の痛み、特に強し。
もしかして、折れているかも? ヒビが入ってるかな?
仮にそうでも、添え木をし動かさないようにして自然治癒を待つのみしか、治療方法は無い。
つまり、病院に行ってもレントゲン(放射線)のリスクを受けるだけなので、このまま大人しくする事に決定。

 それでも休日前夜、どの山に行こうかと話を夫に持ち掛ける。
だが、大事を取った方が良いと、あっさり却下。
その代わり、花盛りだから東山植物園に行こう!と提案あり。
単純なので、いいねぇ!と素直に喜び承諾。

 ここは緑豊かな森に囲まれ、とても都会の中にあるとは思えない静けさである。
約60種類近くの小鳥が、飛来や生育してるほど自然豊かでもある。
また、多種多様な植物、木々が植わっている。
子供達が小さい頃は、よく隣り合わせにある動物園へ、遊びに来た。
手が離れたら夫婦で植物園の方へ、と年に1、2回は来ている。

 何より、園内の花、木、鳥など名前がきちんと表示してあるので勉強にもなる。
ぜひ、今回も目に付いたものの名前を確認したい!と張り切る。

 たどり着いてみると、思ったとおり花盛りで、園内パステルカラーが溢れている。
ビックリしたのは石楠花(しゃくなげ)が、もう咲いていた事だ。
ある一角にはバラのように「ウエディングブーケ」だの「真珠姫」だの個別のネーミングを持った種類が見本のように並んで展示されていた。
どれも、華やかで上品である。
 
 また、写真でしか知らないヒトリシズカが、丘の斜面に咲いているのを発見。
名前がステキなので、ずっと見たいと思っていた。
白い楚々とした控えめな花である。
ちなみにフタリシズカという名前の花もある。

 時代の要望か、あちこちに車椅子通行の不可についての看板が新設されていた。
これから順を追って咲くであろうバラやアジサイなども小さな蕾が付いてる。
並木になってる八重桜の花びらが、風に乗って宙に舞う。
その柔らかな空気の中を、歩いてるだけで上機嫌になる。

 花の美しさもさることながら、木々の新緑が、ため息が出るほど美しい。
日の光を通して見上げるとキラキラと輝く。
特にブナ!どんな絵の具の黄緑色も決して敵わないほどの美しい発色である。

 次回の山は絶対ブナが多い山だな!と夫と誓う。
その後は石楠花!
石楠花の群生している山が確かあった筈である。
思いは、やはり山へ山へと向かう。

 季節ごとの変化に沸きあがるような楽しみを感じる。
誰かが素晴しいものは、みんなタダ!ッて言ってたが本当にそうだ。
美しい自然の営みを前にして、しみじみ贅沢な時間を過ごしていると思う。

・・・ ビックリしたり感心したりとノンビリ廻っていたら、いつの間にか陽が傾きかけていた。



 

円の中心

経ヶ峰   819m  三重県

登山口の駐車場から、いつものようにお弁当とお昼寝マットが入ったリュックを背負い、出発。
もはや辺りの桜の花は、ほとんど散りかけ葉っぱの新芽が芽吹いている。
それでも、桜らしい甘い香りは春の陽光にのって漂っている。
耳に飛び込む音は渓流の水音のみ。
穏やかで、ゆったりとした空間の中を歩き始める。

 暫らくするとウグイスの鳴き声がする。
足元には見慣れないスミレ程の大きさの白い花が、転々と林道脇に咲いている。
ぜひ、名前を知りたいのでカメラに納める。

 山に行くようになり、沢山の花、木、鳥の名前を覚えるのが大きな楽しみである。
昨日まで単なる花だったのが、名前で呼べる嬉しさは、新しい友達が出来た時の喜びと似ている。
自分にとって、かけがえのない存在のひとつとなる。

 先週、久しぶりに高校時代の友人から電話があった。
私が毎年送る、年賀状に写っている山でのスナップ写真。
添えられた文面の 「休日は山に行ってるので、いつも留守です」 のコメント。
面白そうだと刺激を受け、つい先日、宮路山(愛知県)に登って来たと言う。
頂上からの眺めには感動した、と興奮して話す。

 ここ経ヶ峰、1時間半ほどかけて登り切った頂上は何と360度、視界を遮るモノがない。
外を向き、グルーッと回転しながら景色を眺める。
霞繋ってはいるが、遥か彼方の山並みまで見える。
下界の小高い山々の谷間にある、寄り添うような集落も点々と見える。
心が、いっぺんで浄化されるような美しい眺めである。

 帰りの尾根道を、鼻歌交じりに愉しげに歩く。
頭上ではヤマガラが木と木の間を飛び交う。
こうして今日も元気に山へ来られた事が嬉しいし感謝と、しみじみ思う。

 今夏に10数年ぶりだが、クラス会の予定があるそうだ。
約30数年前の高校生だった自分。
こうして山登りを楽しんでるなんて、全く想像すらしていなかった。
だからこそ、先のことをアレコレ考え決め付けてはいけない、と謙虚にもなる。
幾つになっても明日は判らない。

 ここはコースも判り易く、難しい場所も無い。
なのに頂上はサイコーの景色が堪能出来る。
今度、会ったら一番に奨めてみよう!登山を始めた友達に・・・。

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