愛知県犬山市に、明治時代の建物ばかり全国から移築し、保存している博物館がある。
その名は、ずばり明治村。 なんの工夫も洒落っ気もないネーミングだ。
しかし、私はここのファンである。
特に深い理由はないが、単純に古いものが好きだからだ。
もう、おそらく10回以上は来ている。
とにかく、園内の建物は実際に使用されていたものばかりなので、その中に佇むだけで、そこで生活されていた人達を想い、短くもあり、長くもある人生の繰り返しに感慨深い思いを持つ。
また、確実に人が存在したであろうと思われる形跡には、厳粛な気持ちにもなる。
結構、敷地は広いので全て廻ろうと思ったら、確実に1日たっぷりかかる。
今回、どこやらの割引券があったので、なおさらチャンスだと思い、夫と繰り出す。
特に、新たに興味が沸いたのは幸田露伴(作家1867〜1947)の住宅である。
少し前に幸田文(露伴の娘、作家1904〜1990)の本を読んだ。
その、文の生家がそこだと説明にある。
それまで、夏目漱石宅の親近感の影に隠れて、ほとんど素通りに近かった。
が、ちょっと娘の本を読んだくらいで、もう記念写真は外せないくらいのミーハーぶりである。
さっそく、露伴の文机に座り、満悦な顔して夫にシャッターを切って貰う。
露伴も自分の死後、60年も経ってから愛用の文机で、このような、どこの馬の骨とも判らない
おばさんが写真に納まるなんて、夢にも思わなかったことだろうと思う。
それを思うだけでも大きなロマンを感じる。
さて、さっきお昼ごはんを食べ満腹で、陽気も良いのでなんだか眠くなってきた。
どれ、そこいらのベンチで休もうと腰掛けた。
座りながらこっくりこっくりしてたら、春とはいえやっぱり外は寒い。
場所を変えようという事になった。
2人で相談した結果、さすが何度も来ているだけあって、すぐにうたた寝に丁度よさそうな場所が思い浮かぶ。
帝国ホテル(巨匠フランク・ロイド・ライト作1923年完成)のロビーの椅子だ。
すぐさま帝国ホテルへ向かう。(妙な夫婦だ!)
やっぱり、誰も居ない。ラッキー!と柔らかなソファーに向かい合わせに座り、2人こっくり
こっくりやりだした。
気持ちよく寝てたら、いきなり琴が鳴りだした。
その音で目が覚め、見ると夫の背中越しのすぐ後ろで、おばさんが張り切って弾いてるでは
ないか! 明治村主催のイベントらしい・・・。
嫌な予感がした。
案の定、夫は目を覚まし、まさかその音の犯人が、すぐ後ろの生演奏とは思わず大きな声で
「うるっせーなあー!」 お琴のおばさん一瞬、目が釣り上がる。
私はアゴでうしろ、うしろと合図する。 夫は「?」とまぬけ顔・・・しばらくして音の強烈さに察知。
おばさんに怒られる前に立ち去ろうと、さりげに夫の腕を取り、逃げるようにその場を後にする。
なんとも、情けない夫婦である。
夫はてっきり、館内放送かと思ったと、むなしく弁解している。
そもそも、昼寝の場所に指名されたんじゃ、巨匠ライトも「こりゃ、まいったナァ!」である。
・・・しかしながら、このような博物館も維持管理にだいぶ費用が掛かると思う。
それに反してレジャーの多様化で、昔に比べたら客足は寂しいんではないか?
個人的にはなんとか、存続して欲しいのでこれからも定期的に足を運び、貢献したい。
特に、ここは年月が経過するほど価値が上がるんだ。
頑張れ、明治村!

幸田露伴の書斎・・・なんとも趣きがあるではないか!