烏帽子岳 (えぼしだけ) 872m 岐阜県
「うー・・・痛い!」 腿の内側辺りが痛い。
夜になっても、痛みは引かない。
ガイドでは体力度Bランク。
しかし、思いのほか急登が延々続いた。
石楠花の群生があるとの記事に、ウもスもなくこの山に決定する。
しかし登りが苦しく、すっかり石楠花など頭から吹っ飛ぶ。
息を弾ませ、小休止を何度も取りながら登る。
延々と続く階段を、ふと見上げると視界の上まで続いている。
これ以上見上げると、ゲンナリするので1mほど前方を見ながら、ひたすらゆっくり上る。
後ろから夫がノーテンキな声で、やれ昨日こうだった、だの、この前のTVがあーだったねぇ、だの話かけてくる。
わたしゃ、それどころではない!
返事をするのさえ、億劫だ。
暫らくして、わずかな上り傾斜が付いた尾根歩きになる。
それすら、少し辛く感じる。
だが相変わらず 「ホントに気持ちの良い道だねぇ!」 と全く、意に介さない夫である。
およそ、1時間半を過ぎた頃。
レンゲツツジのオレンジ色の花が目立ってきた。
丁度、みごろで新緑に映えて美しい。
苦しい身が報われるような思いだ。
シロヤシオやサラサドウダンツツジも見つけた。
沢山はないが、ポツリポツリと登場する。
その度に休憩して、写真を撮ったり眺めたりと楽しむ。
やはり、その季節にしか咲かない花との遭遇は、山登りの大きな醍醐味である。
時間的にも、もうすぐ頂上だと見当を付けたときだった。
足元に白から薄桃色に変わっていく、漏斗状の花びらが幾つか落ちている。
ハッとして見上げたら石楠花だった。
残念ながら一足遅かったらしく、一塊になった花々は2,3あるだけだ。
だが、遅咲きのそれも、優しく上品で可憐である。
それまでの疲れが吹っ飛んでしまう瞬間である。
もう、1、2日遅かったら会えなかった。
山で見る石楠花は、なぜこんなに美しいのかと思う。
人間に庇護されることなく、自らのみの力で花開く強さが美しいのか・・・。
・・・しかし、足が痛い。
帰路も同じ道を使った。
下りは下りで、重力に乗って落ちようとする身体を止めなくてはいけない。
またもや、苦しい。
やっとの事で車にたどり着いた。
「ねぇー、今日のコースけっこうキツかったよねぇ」 と夫に同意を求める。
が、涼しい顔して「そうかなぁー?」
・・・・どこまでもタフなオジサンであった。
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