神越渓谷 愛知県豊田市

梅雨入りしても、今年はまだエアコンのお世話になる事はなかった。
だが7月に入ったらと思ったら、さすがに蒸し暑さが襲ってきた。
最初の週末となった東海近辺の天気予報、午前中好いが午後から崩れ、所により雷注意と出た。
山登りはあきらめて、渓谷に涼みに行く事にする。
駐車場が近い渓谷なら、もし雷が鳴り出しても直ぐに非難出来るからだ。
やっぱり、少しでも自然の中で過ごす週末が、大きなリラックス。
地図をニラメッコしていた夫は、足助香嵐渓の奥に、まだ行ったことの無い渓谷の名をみつけた。
探検の気分で、ここへ行ってみようと言う。
ウチからおよそ2時間あまり。
そこは管理渓谷釣り場で、マス釣りを楽しむ何組かの釣り人やその家族で賑わっていた。
釣り人の邪魔にならぬ所で持参した、お弁当を広げる。
渓流の流れと小鳥のさえずりの中でゆったりとした時間を過ごす。
と、そのうち近くの岩場を2羽のキセキレイが、何度も行ったり来たりしているのに気付く。
水しぶきを避ける様に、上下にアップダウンしながら水面スレスレに飛ぶ、みごとな低空飛行。
時々、岩場で止まり、首を傾げる様など見ていてあきない。
写真を撮ろうと、その動きを暫らく追う。
ふと、いつも口にエサを咥えているのに気付く。
夫が近くに巣があるかも知れないと言う。
キセキレイの動きを続けて観察する。
暫らくすると、決まった岩場を拠点にしているのが判った。
キセキレイの留守の間に、行ってソーッと覗いてみる夫。
歓声が上がった。
嬉しそうに私を手招きする。
示された岩場の奥を覗くと、居ました!居ました!
キセキレイの赤ちゃん。
まだ眼も開けていないし産毛の下から肌の色も透けて見える。
産まれて間もない赤ちゃんが、何羽かクルッと丸まっている!
ちゃんと、小枝を丸く編んだ巣の上に一塊になってジッとしている。
いじらしくて、可愛くて、何としてもこの命は守らなくては!と強く思う。
驚かさないように、そっと写真を撮る。
それでも近くで親鳥が、ピィピィ鳴き出したので直ぐに退散。
離れた場所で観察する事にした。
こちらを気にしているのか、なかなか巣に入らない。
警戒しているんだと思う。
天敵のカラスも近くを飛んでいる。
動かぬように、静かに待っていたが2羽は巣の近くでエサを咥えたまま入ろうとしない。
私達が邪魔なんだな、と思ったので残念だが帰る事にする。
こんな事で、いたいけな赤ちゃんキセキレイを飢え死にさせるワケにはいかない。
それにしても、嬉しい遭遇である。
普段、自分たちが生活している時間にも、こうして他の生き物達も着々と日々の営みをしている。
2羽のツガイで、かいがいしく何度も何度もエサを咥えて行ったり来たりしていた。
こうして夢中になって、子供を育てようと一生懸命な事が、最も充実していた時間だったかな、とふと思った。