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2012年初登山 その2

つげブラシ

 鹿児島へ行ったらぜひ、手に入れたいものがあった。
つげで出来たブラシである。

 髪を梳かすのには、ほとんど動物の毛で出来たブラシを使っていた。
髪と同じ性質なので髪に良いのでは?と単純に思ってのことだ。
もちろん、何年か毎に買い替えていた。
確か豚の毛とイノシシが混ざっていた気がする。
でもブラシの腰が少なく、何となく梳かし具合がピシッとしない。
梳かした後の地肌がすっきりしないのだ。

 たまに合成樹脂のブラシも試した。
歯が硬いので、地肌のマッサージ効果はあったが問題は静電気。
気をつけないと髪が引っ張られ、途中でプチンと切れてしまうこともあった。
そんなこんなで取りあえず、適当にアレコレ不満箇所は目を瞑って、色々と品を替え使用していた。

 そんなある日、例のごとく鹿児島に行くにあたって何か特産はないか調べていた。
すると、市内に薩摩つげ櫛を製造販売しているお店の記事を見つけた。
商品のリストに薩摩つげで出来たブラシもあるではないか!
いままで、木製のブラシは眼中になかった。
だが、改めて考えてみると昔から、つげの櫛は童謡にも唄われている位、有名である。
現在でも、まだあるのか!まず、それに驚いた。

 昔から延々とあるモノは良いモノが多い。
相応しくないならば、自然に淘汰されてしまうからだ。
梳かし具合を想像しても、静電気も起きず髪に負担をかけない気がする。
また梳いている時、地肌にビシビシと効そうなマッサージ効果がありそうだ。
何より木製なのが、使い終わったら燃して土に還るのが良い。

 あー、つげブラシ欲しい!欲しい欲しい!
こうなったら、頭の中はつげブラシでいっぱいだ。
今、一番ほしいモノは?と尋ねられたら間違いなく「つげブラシ」って答えるであろう。

 で、やっと憧れのつげ櫛のお店を訪ねた。
が、国産の薩摩つげで出来たモノはビックリする位にお高い!
外国産のつげで出来たモノでも、今まで自分が使っていたブラシよりはるかに高い!
フーンム・・・・・・ムムム。
お店の中で考えること10分ほど。

買うには買うつもりだが、外国産のつげか、ご当地、薩摩つげのモノか?
薩摩つげの方が外国産の3倍以上する値段である。 

 食べ物は地産地消が一番身体に良い。
ならば、直接髪に当たる木材も日本人なら日本で取れた木材の方が身体に良いのでは?
それに柄のところの『さつまつげ』っていう、ひらがなの控えめな焼印が何とも、購買意欲をくすぐる。
外国産にはない。


 それに見たところ、このブラシ自体は、まず何年かもちそうだ。
いやいや、このブラシのしっかり具合からして、何年どころかひょっとすると一生モノかもしれない。
そう考えると高い薩摩つげの方でも結局は安い!
おまけに1本でも歯が折れたら、なんと御丁寧に修理してくれると言う。
何より、一つ一つ手作りと言われるように、持ってみると握り具合がすこぶる良い。

 ・・・・・・気が付いたら、焼印のある方を手にとって「コレ下さい!」と言っていた。

 今、その薩摩つげブラシはウチの洗面台のブラシ立てにある。
椿油でコーティングしてあるせいか、梳かすと髪の艶も良い。
おまけに髪のキューティクルを整えるのか、パサパサしていた髪がしなやかになった気がする。
もちろんマッサージ効果も抜群である。
ぐいぐい地肌を刺激し、梳いた後の頭がスッキリ爽やかなのだ。


 おかげで毎朝夕、そのブラシで髪を梳かすのが、ささやかな私の楽しみになっている。
ビバ、薩摩つげブラシ!




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